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ナチス政権下の苦悩描く 広島の劇団 今月下旬上演 「今の日本と重なる」

 広島市を拠点に活動する劇団月曜会は今月下旬、ナチス政権下のドイツの人々の生活の様子を描いた「第三帝国の恐怖と悲惨」を、中区榎町のスタジオ「アッカー」で上演する。特定秘密保護法の成立や集団的自衛権をめぐる憲法解釈の変更論議など、国の在り方を変えようとする政治の動きが強まる中での舞台。「戦時中のドイツを描いた芝居だが、内容は今の日本とも重なる」と、稽古にも熱がこもる。

 「第三帝国―」は、ナチス政権下のドイツから亡命した劇作家ブレヒトがデンマークで書いた戯曲。隣人や親兄弟が互いにスパイされていないかと疑心暗鬼に陥ったり、マスコミが過酷な労働の現場を華やかに伝えたり…。ヒトラーの独裁体制下の暮らしぶりに迫る。

 1959年に発足した月曜会にとっても特別な作品だ。88年、プロ集団の指導を受け、民家に併設した活動拠点アッカーのこけら落としで初演。その後、周辺事態法や国旗国歌法の成立時にも演じてきた。

 「誰もが戦争は嫌だと言うけれど、いつの間にか始まっている。芸術には、炭鉱で危険を知らせるカナリアのような役割がある」と岩井里子代表(74)。5回目の上演となる今回は5月上旬から、10~70代が本格的な稽古に励んでいる。

 上演は21、28日午後3時と7時、22、29日午後2時と6時。一般2千円、中高生500円。月曜会Tel082(234)9656。(余村泰樹)

(2014年6月16日朝刊掲載)

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