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社説・コラム

『スポットライト』 住民主導で事故に備え

防災を手掛けるNPO法人「奥出雲BGFやっちゃら会」理事長・清水俊行さん

 「福島第1原発事故をみれば、原発の事故は決して人ごととは思えない」。中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)30~50キロ圏の奥出雲町で昨年10月、原子力防災などを目的としたNPO法人を設立。活動を本格化させている。

 町は事故の際、松江市島根町の約3800人を体育館など15カ所で受け入れる。食糧の調達、調理や救援物資の提供…。避難所の運営には「人脈や土地勘のある町民の協力が欠かせない」と考える。「だからこそ行政頼みでなく住民主導で準備を進めたい」と、設立に込めた思いを語る。

 避難食作りに力を入れるのは「被災者の立場を想像すると、まずは『食』が大事」との思いからだ。1月にはアレルギーの有無にかかわらず食べられるカレー30食の試食会を町役場で開いた。「被災者全員に食べてもらえなければ意味がない。われわれが大人数向けの調理に慣れる意味もあった」

 今月には、町と木製ブロックを使った避難所内での生活スペース作りも試みた。「住民目線で気付いた点を行政に伝える役割も果たしたい」(樋口浩二)

(2014年6月17日朝刊掲載)

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