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アートに驚く夜の流川 若い感性で広島の歓楽街変える 有志グループ 3ヵ所で通年展示

若い感性で広島の歓楽街変える

 中四国地方最大の歓楽街、広島市中区の流川・薬研堀地区の街角で、若手芸術家の作品を生かした新たな街づくりが始まった。その名も「夜街(よるまち)芸術ナイタート」。不況で鈍った客足を呼び戻すのに若い感性を生かそうと、商店主や文化団体のメンバーでつくるグループが取り組む。「ネオン街のイメージを変える」。そう意気込んでいる。(和多正憲)

 「ナイタート」はナイト(夜)とアート(芸術)を合わせた造語。堀川町と薬研堀の雑居ビル1階にある計3カ所のショーウインドーを利用し、若手の作品を2~3カ月周期で紹介していく。会場は「新地ギャラリー」と名付けた。

 第1弾は15日始まった若手芸術家集団「プロジェクトナウ!」の展示で、原爆の日の8月6日まで。相生橋(中区)の模型を前に、人の顔をかたどった巨大な拳のイラストを描き、市民一人一人の命を奪う原爆の悲惨さを表現した前衛作品だ。17日訪れた中学校美術講師の村上渚さん(37)=東区=は「繁華街でアートというコンセプトがいい。もっと大規模に広げて展示してほしい」と感激した。

 グループは1992年、バブル崩壊で不況の大波が押し寄せてきた歓楽街をアートで活気づけようと「夜の街の芸術を考える会」として発足。93年から毎年秋だけ、公募展「ひろしまナイト美術大賞」の受賞作を展示してきた。公募展が20回を超えたのを機に、若手の発表により重点を置き、通年展示することにした。

 発足時からのメンバーで、仏壇店を営む高山正さん(66)は「若手作家の支援を通じ、若い女性でも気軽に来られる歓楽街にしたい」と狙いを明かす。

 季刊の広報紙も創刊。A3判、両面カラーで、街の飲食店に飾ってある絵画や音楽にまつわるこぼれ話、芸術家のインタビューを載せる。約2千部を刷り、新地ギャラリーで無料で配っている。ナイタート事務局Tel082(545)7611。

(2014年6月18日朝刊掲載)

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