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戦争の記憶 電子システム活用 修道大・長崎大・沖縄大が遠隔講座

■記者 野田華奈子

 被爆地にある広島修道大(広島市安佐南区)と長崎大(長崎市)、沖縄大(那覇市)が7日、戦争の記憶継承について考える遠隔講座を開いた。沖縄大であった講座を電子会議システムで各大学に同時中継。修道大では学生や市民約50人が受講した。

 特別講師2人が講演。ノンフィクションライターの高瀬毅氏は「長崎には原爆ドームのような象徴がない」と指摘し、被爆した浦上天主堂が1958年に撤去されたことを惜しんだ。沖縄で遺骨収集を続ける具志堅隆松氏は「今を生きる人と犠牲者を結び付けたい」と話し、現場学習の大切さを説いた。

 継承の課題について、修道大の佐渡紀子准教授(国際安全保障)は「原爆投下当時の被害だけでなく、復興の過程も含めて語り継ぐべきだ」と提案。長崎大からは、被爆者がいなくなる将来を見据え「被爆の痕跡を残す遺構を保存する必要がある」との指摘があった。

 受講した修道大2年の松田拓也さん(19)は「追体験は難しいが、あらためて自分にできることを考える契機になった」と話していた。

 講座は昨年8月、学生交流協定を結んでいる修道大と沖縄大で初めて実施。今回は新たに長崎大が加わった。

(2010年8月8日朝刊掲載)

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