×

ニュース

「遺影は語る」を英訳 愛媛大生が遺族と交流

■記者 藤村潤平

 愛媛大法文学部の2年生16人は6日、中国新聞が1998~2000年に連載した「遺影は語る」を英訳した横断幕を作成し、広島市中区の原爆ドーム前で掲げた。爆心直下で被爆死した一人一人の状況を海外からの訪問客に伝えようと企画。遺族とも交流した。

 国際関係の講義を受け持つ阿部純子非常勤講師(65)=松山市=がインターネットで記事を見つけ、学生に英訳を呼び掛けた。2369人の記事から爆心地近くに暮らしていた旧住民や建物疎開に動員された中学生約200人分を翻訳。縦1・1メートル、横5メートルの横断幕2枚に、遺影やそれぞれの死没状況の英文を記した紙を張り付けた。

 会場には、旧住民の遺族も訪れた。母ときょうだい計6人を亡くした呉市音戸町の松本秀子さん(80)は「家族も古里も失い、悲しさと悔しさでこの場所に近づけなかった」などと体験を語った。

 英訳は秋まで続け、全員分をオバマ米大統領に送る。中村瞳子さん(19)は「亡くなった方、生き残った方の思いをかみしめ、読む人の胸に迫る英訳にしたい」と思いを新たにしていた。

(2010年8月7日朝刊掲載)

年別アーカイブ