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ミンダナオ和平 当事者が考える 広島でセミナー開始 あすまで

 フィリピン南部ミンダナオ島で40年余り紛争が続いた同国政府とイスラム武装勢力の和平促進を考える「ミンダナオ平和構築セミナー」が23日、広島市中区の広島国際会議場で始まった。25日まで自治政府設立に向けた課題などを議論する。

 同国政府のテレシタ・デレス和平プロセス大統領顧問室長官やモロ・イスラム解放戦線(MILF)のムラド・イブラヒム議長たちが出席。ムラド議長は基調講演で「この闘争は合意署名だけでは幕を閉じない。合意内容は実施されなければならない」と確実な履行を求めた。

 広島市の松井一実市長は「罪のない多くの市民の命が奪われたヒロシマでのセミナーは、心の中に平和のとりでを築く絶好の機会だ」とセミナー開催を歓迎した。

 記者会見で治安の正常化について、ムラド議長は「武装解除を進めなければならない」と力を込め、デレス長官は「包括的なプロセスを通じて正常化を実践することが重要」と述べた。

 セミナーは国際協力機構(JICA)とマレーシア科学大が共催。これまで計5回、いずれもマレーシアで開いてきた。和平合意後初となる今回は、平和の象徴の地、被爆地広島での開催を企画。24日にはアキノ大統領が出席する。25日に「広島宣言」を採択する予定。

 同国政府とMILFはことし3月、MILFの武装解除や2016年の新自治政府設立などを盛り込んだ包括和平で合意。日本政府も極秘会談を仲介するなど積極的に関与していた。(鈴中直美)

(2014年6月24日朝刊掲載)

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