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フィリピンのアキノ大統領 広島初訪問 「政策決定者は忘れてはならぬ」

 フィリピンのアキノ大統領が24日、初めて広島市を訪れ、東区のホテルで開かれている同国南部ミンダナオ島の和平促進を考えるセミナーで演説した。同島では40年余り政府とイスラム武装勢力の紛争が続いた。関係者を前に「政策決定者は広島、長崎で何が起きたかを忘れてはならない。道を誤った時、犠牲になるのは罪のない人々だ」と呼び掛けた。中区の原爆慰霊碑では、花を手向けた。

 アキノ大統領は演説の冒頭、原爆被害に触れ「平和都市広島は、過去に戦った者たちが紛争を繰り返さないため、友好な関係を保つ方法を話し合うのにふさわしい地だ」と強調。「相互理解、正義、繁栄に到達するため、対話と交渉の道を歩もう」と訴えた。

 3月に包括和平で合意したモロ・イスラム解放戦線(MILF)との交渉の道のりも振り返り、2011年の極秘会談を仲介した日本政府の協力に謝意を表明した。

 その後、中区の平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑の前で黙とうをささげた。原爆資料館も志賀賢治館長の案内で見学。被爆者の遺品や被爆直後の市街地の模型に見入り、芳名録に英語で「紛争に突き進めばどんな結果がもたらされるか思い起こさせてくれる場所だ」と記帳した。広島県の湯崎英彦知事とも会談した。

 セミナーは国際協力機構(JICA)とマレーシア科学大の共催。25日に「広島宣言」を採択し、閉幕する。(田中美千子、西村萌)

(2014年6月25日朝刊掲載)

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