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バス必要台数未定 原発事故 島根県、住民の避難用

 島根県は25日、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)での事故時の住民避難について、避難に必要なバスの台数が定まっていないことを明らかにした。5月に公表した避難時間のシミュレーションなどを通じ、過去2度示した台数はあくまで「試算」と説明。福島第1原発事故から3年余りたった今も、調達の前提となるデータがまとまらない実態が示された。

 県議会本会議の一問一答質問で示した。昨年12月の本会議では、約3割がバスで逃げたとされる福島の事故を受け、県内の原発30キロ圏約39万6千人の避難に必要な台数を4800台と説明。鳥取県を含む30キロ圏約47万人の避難時間を予測したことし5月は、在宅要援護者以外は自家用車で逃げるとしたため、約10分の1の450台に減った。

 だが島根県は「台数は誰が使うかなどの条件設定で大きく異なる」(避難対策室)とし、いずれも正式な必要台数ではないという。今後、避難時に住民が最初に集まる一時集結所(30キロ圏225カ所)ごとに、地域の要望を踏まえ必要台数をまとめる。他県からの調達が不可欠とみており、国の支援も仰ぐ。

 原発30キロ圏の松江、出雲、雲南、安来、米子、境港の6市によると、6市にある民間、市営バスは計約800台。しかし事故時は運行中のバスも多いとみられ、スムーズに調達できるかどうかは疑問。両県と隣接する広島、岡山、山口の3県から貸し切りバスを調達すれば約2600台上乗せされる。(樋口浩二)

(2014年6月26日朝刊掲載)

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