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託された「戦争」 絵・書に 御調高生 被爆者らから聞き取り 12月の文化祭で発表 尾道

 尾道市御調町の御調高の生徒が25日、同町在住の70、80歳代の被爆者5人と戦地に赴いた1人の計6人から当時の話を聞いた。来年の被爆70年を前に、同町原爆被害者協議会が体験を若者に継承しようと同校に呼び掛けたのがきっかけ。生徒は聞き取った原爆の惨禍や戦時中の暮らしを絵や書で表現し、12月の文化祭で発表する。(新山京子)

 希望した生徒7人が学年ごとの3グループに分かれ、校長室で分担して面会した。1年生2人が聞き取った2人のうちの1人、森山儀助さん(89)は陸軍兵だった20歳の時、広島市の旧制崇徳中(現崇徳中・高)の校庭で被爆した体験を話した。

 多くの同僚がひどいやけどをし、瀕死(ひんし)の重傷だったという。「助けてあげられないまま亡くなっていった」。森山さんは今も心に残る無念を語った。

 生徒は、6人から今後も聞き取りを重ね、被爆者たちの体験を絵や絵本、書などにする。作品は、10月に同協議会の会員に見てもらった後、12月13日に町内の小中高が開く合同文化祭で一般公開する。3年古本遥奈さん(17)は「当時の様子に思いをはせながら、丁寧に絵を描きたい」と意気込んでいる。

 同協議会の会員は現在、被爆者と遺族の計94人で平均年齢は80歳代と高齢化が進んでいる。溝上泰会長(82)は「生徒は印象に残った被爆者の体験を自分なりに表現し、原爆や戦争の悲惨さを後世に語り継いでほしい」と期待している。

(2014年6月26日朝刊掲載)

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