×

ニュース

被爆建物から文化発信 旧日銀支店でイベント予約増 70年の節目控え平和関連が中心 広島

 来年の被爆70年を前に、芸術や文化活動の発表の場である被爆建物、旧日本銀行広島支店(広島市中区)の利用予約が取りにくくなってきた。平和関連の催し希望が増え、今秋以降分は受付初日に申し込みが重なって抽選になるケースも。市は「予約は早めに」と呼び掛けている。(西村萌)

 市によると、非営利目的などの条件を満たせば、光熱水費だけの負担で最長3週間、展示などに使える。希望日の半年前から先着で申し込みを受け付けるが、毎年、原爆の日に近い7、8月分は受付初日に希望が重なり、抽選になっている。

 ところが、現在は秋以降の利用も抽選となるケースが相次いでいるという。文化振興課は「被爆70年を前に関連イベントが増えたのが一因」。より多くの利用機会を提供できるよう11月から会期を最長2週間に短縮した。

 旧日銀広島支店は1936年に完成。鉄筋3階地下1階延べ3214平方メートルで、古典様式の外観が特徴だ。爆心地から380メートルの近距離に位置し、20人が亡くなった。内部にはガラス傷など被爆の痕跡が残る。市は重要文化財に指定した2000年に日銀から無償貸与を受け、01年から一般に貸し始めた。毎年50件前後の利用があるという。

 今月29日までは日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)の「ヒロシマ平和ポスター展」を開催中。7月27日から8月6日まで、東京都や沖縄県の学生と彫刻や映像を展示する広島市立大芸術学部2年の加藤果琳さん(22)は「先輩から良い雰囲気だと聞いて会場に決めた。県外の学生に広島で感じたことを表現してもらうには最適の場」という。

 文化振興課は「申し込みが増えたのはうれしい。建物を有効に使って、より多くの人に平和への思いが伝われば」と期待している。同課Tel082(504)2500。

(2014年6月27日朝刊掲載)

年別アーカイブ