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平和市長会議 大台突破 127ヵ国・地域 2028都市に

■記者 森田裕美

 2020年までの核兵器廃絶に向けた緊急行動(2020ビジョン)に取り組む平和市長会議(会長・秋葉忠利広島市長)の加盟都市が28日、2000の大台を超え、127カ国・地域の2028都市に達した。1982年に広島、長崎両市の提唱で発足した同会議はここ数年、加盟都市を増やしており、3年間で3倍以上に増えた。都市の連携をさらに強め、国連や核兵器保有国、国際世論に核兵器のない世界の実現を働きかけていく。

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開かれる2010年までの核兵器禁止条約発効に向け、5月にスイス・ジュネーブであるNPT再検討会議準備委員会に合わせ、取り組みの大枠を定めた「ヒロシマ・ナガサキ議定書」を発表する。国連が「軍縮の10年」と位置づける10―20年をにらみ、09年の議定書採択を目指す。

 新たな加盟都市は、フランスが1960―90年代に核実験を繰り返した仏領ポリネシアのファアア市のほか欧米、台湾などの46都市。本年度中の目標としていた加盟2020都市もクリアした。秋葉市長がこの日の記者会見で公表した。

 加盟都市が急増している背景について、秋葉市長は2020ビジョンなどへの賛同を理由として挙げ「(戦争や空爆で)市民が被ってきた痛みや苦しみを二度と繰り返してはならないという都市の使命感がヒロシマ、ナガサキのメッセージと結びついた」と分析した。

 平和市長会議は、これまで広島、長崎両市だけだった国内都市の加盟促進に向け、要請活動を始める。また、米ワシントンやパキスタンのイスラマバードなど未加盟の核保有国首都にも重点的に加入を働きかける。

 秋葉市長は「核軍縮に取り組む各国政府にとっても、自国の市長が声を上げ、世論が高まることで、より積極的な取り組みが期待できる」とさらなる加盟拡大に意欲を述べた。

平和市長会議

 1982年に広島、長崎両市長の呼びかけで「世界平和連帯都市市長会議」として発足。4年に一度総会を開く。90年に国連広報局の非政府組織(NGO)に登録。2001年に「平和市長会議」に名称変更した。加盟都市は欧米が多く、ドイツ308、ベルギー288、イタリア259、米国115の順。10位以内にウガンダ53、イラク45などがある。平和活動に熱心なNGOや市民が自治体の長に呼び掛け、加入したケースも目立つ。

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