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社説・コラム

『ひと・とき』 映像カメラマン・明石太郎さん

「復興」動物たちにも

 「福島第1原発事故後も周辺には野生動物たちが暮らしている。多くの住民が避難した区域で生き抜く生き物のメッセージをくみ取りたい」。ドキュメンタリー映画「福島生きものの記録」(群像舎)の撮影を担当して2年余り。合間を縫い、テレビ番組用の野鳥撮影で廿日市市を訪れた。

 東日本大震災の翌年の2012年4月に福島入り。許可を得て、放射線量の高い地域も回る。「異変」を感じたのは昨年からという。茎が異様に太いタンポポ、体に白斑が浮かんだツバメ…。牧場の牛にも白斑が見られた。「何を意味するのか。専門家の判断が要るが、生き物も安心して暮らせる復興が、私たち人間側に問われている」

 20代半ばでフリーに。アマゾンなど世界50カ国を巡り、チェルノブイリ原発事故の被災地も取材した。映画「福島―」は2作目が完成。1作目はDVD化している。「撮影と映画化は今後も続く。広島の人たちにも見てもらう機会に恵まれれば」と願う。神奈川県鎌倉市在住。(林淳一郎)

(2014年6月28日朝刊掲載)

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