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広島大の講義 「平和」必修化 来年度から

■記者 新谷枝里子

 広島大(東広島市)は2011年度から、新入生全員を対象に、平和をテーマにした講義の履修を義務付ける。世界初の被爆都市ヒロシマで戦後に建学した大学として、平和を尊重する精神を伝えるのが狙いという。

 履修対象の講義は、核保有国の現状や人口増加に伴う食糧不足、戦争文学など、新たに設ける十数科目から、学生が自由に1科目を選択する。原爆資料館(広島市中区)の見学や被爆者との交流も予定する。90分間の講義が全15回で、2単位を修得できる。

 広島大の新入生はほぼ毎年、約2500人の約7割が広島県外の出身。教員や学生から「平和や原爆について学習する機会が必要」との意見があった。

 2008年度からは新入生全員に、大久野島毒ガス資料館(竹原市)やホロコースト記念館(福山市)など、5カ所の戦争関連施設の見学と、リポート提出を義務付けている。

 教育方針などを定める教養教育本部の於保幸正副本部長は「複合的な視点から戦争や原爆を考え、世界平和の構築に向けた人材を育てたい」と説明する。

 広島大にはこれまでも「ヒロシマ学」など平和についての自由選択科目があったが、卒業に必要な必修化は初めて。広島県内では、広島市立大(広島市安佐南区)が本年度から「広島平和科目」の履修を1、2年生に義務付けた。

(2010年8月12日朝刊掲載)

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