広島出身・米の美甘さん、近く自費出版 両親のヒロシマ 伝える 「許す心」 父親と講演も
14年6月30日
広島市東区出身で米国サンディエゴ在住の臨床心理ドクター美甘章子(みかも・あきこ)さん(52)が、両親の被爆体験や戦後を描いた「8時15分 ヒロシマで生き抜いて許す心」を7月に自費出版する。昨年夏に出した英語の本「Rising from the Ashes(不死鳥のごとく~ヒロシマで生き抜いて許すこころ)」の日本語版。出版に合わせて一時帰国したのを機に、神崎小(中区)で、父の進示さん(88)と講演した。
2人は、5、6年約130人を前に話した。爆心地から約1・2キロにあった自宅の屋根の上で背後から原爆の閃光(せんこう)を浴びた状況について、進示さんは「熱湯をバケツいっぱいかけられたような感じ」と表現。被爆が原因で、戦後間もなく麻酔なしで切断した右耳を見せながら「眼鏡をかけられるのが救い」と語った。
進示さんの父福一さんの遺品だった、被爆した懐中時計が、国連本部(米ニューヨーク)で展示中に盗まれたのを章子さんが知った時のエピソードも紹介した。「怒り狂って日本に国際電話したら『怒るな。人を憎んでも何も出てこない』と父は言うんです。原爆についても『米国のせいじゃない。戦争のせいじゃ』と許しているのです」と強調。「皆さんも、腹の立つ人がけがをしたら一瞬は『ざまあみろ』と思っても、自分自身の傷は治らないはず。許し合って『ごめんね』と言える人になってほしい」と呼び掛けた。
熱心に聞いていた6年桑田直希さん(11)は「広い心の進示さんはすごい。僕はすぐ頭に血が上るので、進示さんをまねしたい。本も難しそうじゃないので読みたい」と話していた。
本は、ハードカバーの四六判で224ページ。1620円。映画化も進んでいる。(二井理江)
(2014年6月30日朝刊掲載)
2人は、5、6年約130人を前に話した。爆心地から約1・2キロにあった自宅の屋根の上で背後から原爆の閃光(せんこう)を浴びた状況について、進示さんは「熱湯をバケツいっぱいかけられたような感じ」と表現。被爆が原因で、戦後間もなく麻酔なしで切断した右耳を見せながら「眼鏡をかけられるのが救い」と語った。
進示さんの父福一さんの遺品だった、被爆した懐中時計が、国連本部(米ニューヨーク)で展示中に盗まれたのを章子さんが知った時のエピソードも紹介した。「怒り狂って日本に国際電話したら『怒るな。人を憎んでも何も出てこない』と父は言うんです。原爆についても『米国のせいじゃない。戦争のせいじゃ』と許しているのです」と強調。「皆さんも、腹の立つ人がけがをしたら一瞬は『ざまあみろ』と思っても、自分自身の傷は治らないはず。許し合って『ごめんね』と言える人になってほしい」と呼び掛けた。
熱心に聞いていた6年桑田直希さん(11)は「広い心の進示さんはすごい。僕はすぐ頭に血が上るので、進示さんをまねしたい。本も難しそうじゃないので読みたい」と話していた。
本は、ハードカバーの四六判で224ページ。1620円。映画化も進んでいる。(二井理江)
(2014年6月30日朝刊掲載)