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在ブラジル被爆者追う 実録映画 日本公開版が完成 広島で上映検討 証言活動や苦悩 再編集

 ブラジルで暮らす被爆者と同国内の核被害の実態に迫ったドキュメンタリー映画「ブラジルに生きるヒバクシャ」の日本公開版が完成した。ブラジル被爆者平和協会の森田隆会長(90)=広島市佐伯区出身=たちが証言活動を通じて核兵器廃絶を訴える姿や、同国内で起きた医療被曝(ひばく)事故の被害者が抱える苦悩を追った。(藤村潤平)

広島で上映検討 証言活動や苦悩 再編集

 森田会長たち被爆者が、サンパウロ市で市民と交流する場面や、証言活動で訪れた学校で子どもに囲まれる様子を紹介。広島県などが派遣した医師団の健診やインタビューも収録した。被曝事故の被害者が後遺症や偏見に苦しみつつ、苦難を乗り越えた被爆者の存在を心の支えにしている現状も伝えている。

 オリジナルは、アルゼンチン出身のロベルト・フェルナンデス監督が2011年に製作した99分の作品。森田会長と親交があり、原爆症認定集団訴訟の記録映画を製作した東京在住の有原誠治監督が日本公開用に78分に再編集し、字幕を加えた。

 7月3日に東京都内で開幕する「被爆者の声をうけつぐ映画祭2014」で上映する。広島市内の映画館でも、8月6日前後の上映が検討されている。

 有原監督は「被爆者の言葉は、国境を超えて説得力がある。移民として生き抜き、現地で尊敬される姿は胸に迫る」と話している。DVD版(3500円)も販売する。ブラジルに生きるヒバクシャ製作普及委員会Tel03(6915)9281。

(2014年6月30日朝刊掲載)

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