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広島知事・市長が懸念 集団的自衛権 岩国市長は評価

 安倍政権が集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更を閣議決定した1日、広島県の湯崎英彦知事と広島市の松井一実市長は、必要性についての議論や武力行使拡大の歯止め策が不十分だと、懸念を表明した。自衛隊の基地を抱える自治体からは、歓迎の声の一方、国の安全保障政策であることを理由に慎重な発言が目立った。

 広島県は、被爆地の役割を示す「国際平和拠点ひろしま構想」を打ち出し、各国の核兵器廃絶の姿勢を採点するリポートづくりなどを進めている。湯崎知事は1日の記者会見で「憲法9条とそれに立脚する解釈は広島の心にも由来する。変更は相当慎重に、というのが広島の気持ちだ」と強調。「国会での論戦を含め、国民を巻き込んだ議論が必要だった」とした。

 松井市長も記者会見で「戦後、平和な日本があるのはこれまでの憲法解釈を国民が支持し、それを踏まえた外交が諸外国に受け止められてきたからだ」と指摘。「武力行使が際限なく拡大する懸念が拭えていない。法案作成では国会で熟議を」と求めた。

 海上自衛隊の基地を抱える中国地方の自治体トップは受け止めが分かれた。岩国市の福田良彦市長は「抑止力が向上すれば、紛争や脅威を未然に防ぐ効果がある」と評価。政府が国民の理解が得られる説明をするよう注文した。

 一方、呉市の小村和年市長は「国の方針に従って対応すべきだと考えている」とのコメントを出すにとどめた。県議会一般質問で安倍政権の安全保障政策への考え方をただされた山口県の村岡嗣政知事は「外交防衛政策は国の専管事項で、評価できる立場にない」として言及を避けた。

(2014年7月2日朝刊掲載)

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