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広島・山口 市民の声 議論深めるべき/戦地に行かせたくない/国を守る下地 集団的自衛権閣議決定

 広島、山口両県など中国地方では「国を守るため必要だ」「戦争に巻き込まれかねない」と賛否は交錯した。国民を含めた議論が尽くされていないとの声もあった。

 広島市中区の広島大3年大城将之さん(21)は「憲法9条を守りたいが、日米同盟の強化も大事」と解釈の変更を支持する一方、「武力行使の要件があいまい。もう少し議論を深めるべきだった」。複雑な表情を浮かべた。

 自衛隊の戦闘参加を招きかねない、との懸念も。「戦時中は『平和のために戦争する』と教えられた。あの悲惨な思いを誰にもさせたくないから、被爆証言を続けてきたのに」。被爆者の梶本淑子さん(83)=西区=は自宅で閣議決定を伝えるニュース番組に見入り、憤った。

 長男(7)を育てる福山市の主婦小椋陽子さん(47)は「米国の戦力の一部になってしまう印象。絶対に子どもを戦地に行かせたくない」と力を込めた。小学6年の娘を持つ同市の主婦八橋(やばせ)望さん(38)は「一部の国会議員の考えで事態が進み、怖い」と国民を含めた幅広い議論を求めた。

 「若い世代や被爆地広島も、もっと反対の声を上げるべきだ」。東京から観光で広島市の原爆ドームを訪れた寺門裕美さん(65)はこう指摘。「これ以上、米国の言いなりになる必要はない。どうしても行使したいなら、憲法改正の手続きを取るべきだ」と続けた。

 一方、「首相の対応は強引だが、固い意志を感じた」と評価するのは、下松市のスポーツ用品店経営山内務さん(78)。「中国や北朝鮮を念頭に、国を守る下地づくりを始める時期かもしれない」と話す。

 若者からも賛成の声が聞かれた。「何かあってからでは遅い」。山口市の山口大1年木寺俊介さん(19)は近隣国が脅威だとし「集団的自衛権が抑止力にもなる」と首相の訴えに同調した。

(2014年7月2日朝刊掲載)

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