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戦争が切り離した級友を捜す 旧広瀬国民学校生の西尾さん

■記者 新田葉子

 現在の広島市中区、広瀬小にあたる広瀬国民学校に1941(昭和16)年に入学した西尾重治さん(76)=津市=が当時の級友を捜している。45人と共に写った記念写真が手掛かり。学校は原爆で焼失し、疎開先から戻った児童は近隣の学校を卒業した。同国民学校としての卒業名簿はなく、戦争が切り離した「同級生」の消息をたぐる。

 当時の広瀬元町に暮らしていた西尾さんは、1945年5月、母親らとともに現在の東広島市に疎開。しかし父親が建物疎開作業で負傷したと聞いた母と当時1歳の弟は8月5日に自宅に戻り、被爆した。自宅は倒壊し、弟は即死。母も2週間ほどして亡くなったという。  現在は三重県に暮らす西尾さん。今月初めに広島を訪れて広瀬小であった慰霊式典に初めて参列し、記念写真を手に、かつて家があった場所や疎開先を巡った。

 「亡くなった人もいるだろう。行方をたどって写真を渡したり、懇親会を開いたりしたい」。70年ぶりの集合写真を楽しみにしている。西尾さんTel080(5121)8321。

(2010年8月14日朝刊掲載)

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