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上多田(広島市佐伯区湯来)若い力で元気に 福島から移住 佐藤さん夫婦 カフェ・農業 夢膨らむ

 過疎が進み、住民の8割が高齢者となった広島市佐伯区湯来町の上多田地区に20歳代の夫婦が移住し、カフェや農業を営んでいる。東日本大震災後に福島市から避難してきた佐藤亮太さん(29)と英美さん(27)。山あいの集落に都市部から人を呼び込もうと、まちづくりに加わっている。(村上和生)

 福島第1原発事故から半年後の2011年秋、婚約していた2人は安心して暮らせる場を求めて中区へ移り住み、昨秋に結婚した。上多田地区の住民が共同農園を開き、ユニークなかかしを作る取り組みを知り「過疎は進むが住民は元気。一緒に活動したい」と移住を決意した。10年以上空き家だった民家をことし4月に借りた。

 英美さんが飲食店で働いていた経験から、地区のカフェ「おそらゆき」の店長を経営者から任された。亮太さんは共同農園で野菜作りに参加し、休耕田を借りて稲作を開始。6月上旬には会員制交流サイトで協力を呼び掛け、市内の大学生たち18人と田植えをした。

 同地区の住民は約100人。1960年ごろの1割に減り、子どもは1人もいない。住民は昨年、地区の課題を話し合うワークショップを開き、学生たちボランティアと一緒に農作業するなどの活動を始めた。

 「住民は気さくで、朝夕の爽やかな空気や豊かな自然など上多田の魅力は多い。地区内外の人の結びつきを強めたい」と亮太さん。英美さんも「ここで子育てをするのも夢」と思い描く。2人は8月23日、友人たちを地区に招き、結婚式を開く。上多田町内会連合会の白井一良会長(64)は「若いアイデアと行動力が頼もしい」と喜んでいる。

(2014年7月2日朝刊掲載)

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