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「解釈改憲」島根県内でも抗議 市民団体や野党県議 街頭で危険性を訴え 集団的自衛権閣議決定

 政府が集団的自衛権の行使容認を閣議決定した1日、島根県内でも街頭で市民団体や野党が「解釈改憲に反対」「憲法9条をないがしろにする行為だ」と抗議した。市民からは「戦争で命を落とすことになるかも」などと、不安の声が上がった。

 「日本を再び戦争できる国へ転換するのは許さない」。松江市のJR松江駅前では、しまね労連などでつくる市民団体「県憲法会議」のメンバーが「事実上の改憲だ。他国の戦争に巻き込まれる」などと、街頭で会社帰りのサラリーマンたちに訴え掛けた。

 野党も相次いで県議たちが街頭でマイクを握った。民主党県連は同駅前で「国会ですら審議されていない。民主主義の危機だ」と述べ、共産党県委員会も同市や浜田市内で「平和主義を掲げた憲法9条を葬り去ろうとする動きで、断じて許されない」などと声を張り上げた。

 社民党も浜田総支部が浜田市内を宣伝カーで巡回。同党江津総支部は江津市のJR江津駅前で「将来、日本が戦争に参加するきっかけになる」と訴えた。

 一方、自民党県連の森山健一幹事長は「行使容認は、平和を確保するため内閣が責任を持って行った」とした。

 集団的自衛権の行使容認に反対する意見書案を、6月26日に可決した津和野町議会。議員提案した寺戸昌子町議(共産)は「立憲主義の否定だ」と憤る。閣議決定による憲法解釈変更に反対する声明を出した県弁護士会の射場かよ子会長も「集団的自衛権の範囲が拡大解釈される可能性も否定できない」と批判した。

 集団的自衛権を行使した場合、最前線に立つ可能性がある自衛隊。自衛官の夫が陸上自衛隊出雲駐屯地に勤務する30代主婦は「日本以外の国のための戦争で、命を落とすことになるのではないかと心配だ」と不安そうな表情で語った。

 内閣を構成する与党公明党の県本部からも疑問の声が上がった。三島治代表は「党の支持者に理解されておらず、閣議決定は拙速だった。連立解消を求める支持者も多いはず。来春の統一地方選に影響するのは確実だ」と述べた。

(2014年7月2日朝刊掲載)

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