×

ニュース

平和宣言で言及「半々」 松井市長 集団的自衛権 懇談会踏まえ判断へ

 広島市の松井一実市長は3日、原爆の日の平和記念式典で読み上げる平和宣言で集団的自衛権に言及するかどうかについて「半々」と述べ、明言しなかった。「国内外の事象全ては宣言に盛り込めない。一つだけ取り上げるのもどうかと思う」と説明。有識者や被爆者でつくる「被爆体験に関する懇談会」での議論を踏まえ、判断するとした。

 この日、市役所であった懇談会後、記者団の質問に答えた。松井市長は「個々の問題に触れるのではなく、市長として呼び掛けや問い掛けをすることで立場を示す方法もある」と指摘。今月中旬に開く次回会合で、集団的自衛権の行使容認など個別問題を盛り込んだ文案と、そうでない文案を示し、検討するという。

 2011年4月に就任した松井市長は平和宣言で、公募した被爆者の体験談や核問題へのメッセージを発信してきた。憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認については、今月1日に安倍晋三政権が臨時閣議で決定後、「武力行使が際限なく拡大する懸念が拭えていない」と述べ、批判している。

 一方、長崎市の田上富久市長は、8月9日の長崎原爆の日に読み上げる平和宣言文で集団的自衛権の行使容認に言及する意向。7月末までに宣言文をまとめるという。

 また、この日の懇談会では、被爆者から寄せられた体験談を議論。動員学徒や原爆孤児を取り上げるよう求める意見が出た。(加納亜弥)

(2014年7月4日朝刊掲載)

年別アーカイブ