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原爆症の申請 4倍以上 1~6月 新基準 認定割合も増加

 昨年末に見直された原爆症認定の審査基準で、厚生労働省は3日、見直し後のことし1月から半年間の申請・認定件数をまとめた。焦点だった心筋梗塞など、がん以外の四つの病気の申請は計406件。昨年4~12月と比べると月平均で4倍以上に増えた。既に審査を終えた申請のうち認定されたのは8割弱で、認定される割合も増加している。

 申請の内訳は、心筋梗塞が最多の134件。放射線白内障124件▽甲状腺機能低下症89件▽慢性肝炎・肝硬変59件―で、月平均は67・7件。昨年4~12月の月平均は15・0件だった。

 新たな基準による審査を終えたのは62件。入市被爆者を含む49件が認定され、13件が却下された。昨年4~12月は認定16件、却下88件。新基準による審査実績は少ないものの、認定件数は増えている。

 厚労省は、基準見直しで認定者が10倍程度に増える可能性があるとしていた。被爆者援護対策課は「新基準による認定者が認知されれば今後、申請、認定件数とも増える」とする。

 心筋梗塞などの原爆症認定は、基準の見直しで「放射線起因性が認められる」という抽象的な文言を削除。がん以外の病気では認定していなかった入市被爆を「原爆投下の翌日までに約1キロ以内」と明文化して認める方針に転換した。

 一方、新基準の対象外でも原爆症と認定する地裁判決が相次いでいる。被爆者団体などは「行政認定と司法判断の隔たりは依然として埋まっていない」と批判している。(藤村潤平)

(2014年7月4日朝刊掲載)

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