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被爆死815人の遺族待つ 広島市、全国に名簿発送

 広島市は4日、平和記念公園(中区)の原爆供養塔に納められている原爆死没者の遺骨のうち、名前が判明しながら遺族が見つかっていない815人の名簿を全国の自治体や被爆者団体に発送した。16日から10月末まで庁舎などに張り出してもらい、名乗り出る遺族を待つ。

 名簿は縦104センチ、横73センチ1枚。「遺族を捜しています」という文字の下に五十音順で名前が並び、住所や年齢、当時の所属などの手掛かりも記している。この日は市職員2人が封筒に入れ、全都道府県や市区町村、被爆者団体など1976団体に送った。

 広島市は1968年から名簿を公開し、85年から全国に発送。これまで845人の遺骨が引き取られたが、2010年4月以降は遺族が見つかっていない。一方、ことし5月に名簿にあった宮崎県の女性が被爆者でないと分かり、削除した。同様のケースは09年度から13年度までの5年で計5人あり、手掛かりが乏しかった被爆直後の混乱ぶりを物語っている。

 市も16日から、市内169カ所に名簿を張り出す。原爆被害対策部調査課の杉浦信人課長は「一人でも多くの遺骨を遺族に届けるために、ささいな情報でも寄せてほしい」と呼び掛けている。(西村萌)

(2014年7月5日朝刊掲載)

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