×

社説・コラム

『書評』 郷土の本 「風の強い日」 詩に刻んだ空襲の記憶

 詩誌「ネビューラ」同人の岩崎ゆきひろさん(73)=岡山市中区=が、詩集「風の強い日」=写真=を刊行した。幼い頃の空襲、会社を辞めて司法書士試験を目指していた時期など、自身の体験に着想を得た作品を中心に、23編を収めている。

 「母のけたたましい声で目が覚める/二人の幼い弟が泣く/戦闘機の爆音/急いで窓を開けると/前の『さっちゃん』の家が燃えている/街中が燃えている/『出るぞ』という父の声で/戸を開けると/家の中にゴーと火が入ってきた」(「点線」から)

 4歳の時に体験した岡山空襲(1945年6月29日)の記憶をこの詩に込めた。岩崎さんは「戦争を直接知る人がどんどん減ってきている。語り伝えていくために、今後は空襲体験を基にした詩集も編んでみたい」と話している。

 92ページ、2160円。土曜美術社出版販売。

(2014年7月6日朝刊掲載)

年別アーカイブ