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原爆小頭症に相談員 厚労省概算要求 広島市への配置想定

■記者 岡田浩平、金崎由美

 厚生労働省は26日に発表した2011年度予算案の概算要求に、胎内で被爆した原爆小頭症の患者や家族を支援する専任相談員の人件費約300万円を盛り込んだ。広島市への配置を想定している。

 相談員は医療ソーシャルワーカーを充て、人件費の半額を市に補助する。患者は市内に住む10人をはじめ全国に22人おり、具体的な相談体制を今後、市などと詰めるという。

 原爆小頭症の患者と家族、支援者でつくる「きのこ会」は先月、国の責任での相談員配置を広島県、市を通じて国に働き掛けていた。平尾直政事務局長は「一歩前進だが、全国の患者に等しくケアが届くのか疑問だ。市の被爆者相談事業としてではなく、国の施策として行うよう求めたい」と話している。

 市原爆被害対策部の中村明己援護課長は「厚労省からの説明は受けていない。市の事業として市外、県外の患者をどうカバーできるかなど協議が必要だ」と指摘した。

 一方、被爆者対策費全体は1474億円で10年度当初予算より約75億円減。原爆症の認定者に支給する医療特別手当(月額約13万7千円)は新規認定3600人分を踏まえ17億円増の総額約192億円とした。被爆者の約9割が受けている健康管理手当(月額約3万4千円)は81億円減の701億円を見込んだ。

(2010年8月27日朝刊掲載)

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