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大虐殺経験 平和願う ルワンダ出身マリールイズさん講演 安心して眠れ、朝が迎えられる喜びに感謝

 NPO法人「ルワンダの教育を考える会」(福島市)の永遠瑠(とわり)マリールイズ理事長(48)が広島市を訪れ、広島女学院高(中区)で講演した。母国ルワンダでの大虐殺の経験を踏まえ、「安心して眠れ、朝が迎えられる喜びに感謝してほしい」と中高生約60人に訴えた。

 洋裁の研修生として福島市でホームステイしながら10カ月学んで帰国した2カ月後の1994年4月、国内の多数派フツ人が少数派のツチ人を大量に殺害した「ルワンダ大虐殺」が発生。マリールイズさんは、2~6歳の子ども3人を連れて50キロ先の難民キャンプに歩いて逃げた。「仕事が終わって『また明日ね』と別れたのに、『明日』は来なかった。同僚30人のうち25人が殺された」と明かした。キャンプから福島のホストファミリーにファクスを送り、日本に逃れた。

 大虐殺から今年でちょうど20年。「どうやって民族の対立を乗り越えたのか」との会場からの質問に対しては、「隣人に夫を殺された人もいるが、子どもに『お母さんは、隣の人とけんかしてもいいの』と尋ねられると罪悪感を持つ。子どもの笑顔のために許した」と回答。キリスト教会や村の長老が仲裁に入るシステムも大きな役割を果たしたと紹介した。

 熱心に聴いていた高校2年浅野遥さん(16)は「ルワンダでは自分の名前が書けない大人がいると聞いた。今が当たり前じゃない。広島に育った者として、もっと原爆や平和について勉強して伝えていきたい」と話していた。(二井理江)

(2014年7月8日朝刊掲載)

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