×

ニュース

島根1号機廃炉の見方 運転40年超 再稼働判断期限まで1年 中電、点検に未着手

 再稼働か、廃炉か―。運転開始40年を超えた中国電力島根原子力発電所1号機(松江市鹿島町)が8日、中電による稼働判断の期限まで丸1年を切った。再稼働には、原子炉の劣化を調べる特別点検の結果を来年7月8日までに原子力規制委員会へ提出する必要があるため。廃炉も選択肢とする中電は点検に着手しておらず、地元には廃炉が濃厚との見方が強まっている。(樋口浩二)

 「運転延長の申請を検討する」。中電の清水希茂副社長は6月26日、広島市中区の本社で開いた株主総会で説明した。

 ただ、申請のハードルは福島第1原発事故を受け厳しくなった。原子炉圧力容器の劣化を超音波などで調べる特別点検が課されたためだ。点検結果を規制委に認めてもらい、その前には新規制基準への適合性審査を通過する必要がある。

 点検期間は1年前後とされるが、中電はまだ「検討段階」。一方3月、苅田知英社長が「廃炉の選択肢もある」と表明したのを受け地元の島根県、松江市の関係者には廃炉を「既定路線」とする声が高まった。

 「2、3号機を動かすなら1号機は犠牲になる。問題はそのタイミングだ」。稼働を審議するある島根県議は、廃炉が前提としたうえで、その表明時期が鍵とみる。中電が早期の再稼働を目指す2号機の適合性審査が終わった後に表明すれば「(2号機再稼働の)交換条件になる」という。中電は、廃炉に378億円かかると見積もる半面、「廃炉の具体的な計画はない」と地元の見方を否定する。

 一方、市民団体「平和フォーラムしまね」の杉谷肇代表は「古いうえ福島第1と同型で廃炉は当然。廃炉にも相当な時間がかかる。早く決断を」と求める。

 40年を超える運転に向け、来年7月までに特別点検の提出が見込まれるのは関西電力、九州電力を含む3電力の原発6基。だが3社とも新しい原発の稼働を優先し、点検作業には着手していない。

(2014年7月9日朝刊掲載)

年別アーカイブ