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核燃料課税 停止中も 島根知事、中電と交渉へ

 島根県の溝口善兵衛知事は9日の記者会見で、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の運転に伴って中電から徴収する核燃料税について、運転停止中の原発にも課税できる制度に改めたい考えを明らかにした。2015年4月の改定に向け、中電との交渉を本格化させる。

 現在は新燃料の原子炉への挿入を受け課税する仕組み。福島第1原発事故の影響で島根原発1、2号機の停止が長引き、3号機の運転開始もずれ込んだ結果、11年度以降「税収ゼロ」が続く。県の試算に基づく11~13年度の減収額は計86億4千万円に上る。

 溝口知事は理由を「稼働の有無にかかわらず防災対策や広報が必要」と説明。福島の事故後「原子力の安全確保や万が一の対策など仕事が増えた」とも述べた。

 5年に1度の税制改定期に当たる15年4月を前に、原発の出力に応じて一定額を徴収する方式を中電に打診する。現在、燃料価格の13%とする税率の改定幅も協議する。

 全国の原発立地道県でも財源確保を図る見直しが相次いでおり、福島の事故後、福井など8道県が停止中の原発にも課税する方式に切り替えた。出力と新燃料価格に5割ずつ課税する制度が主流という。

 中電は「島根県から打診があれば真摯(しんし)に対応したい」としている。(樋口浩二)

核燃料税
 避難道路の建設など原発立地に伴う防災対策の費用に充てるため、島根県が中電に課税する普通税。課税を始めた1980年以降、計166億3300万円を徴収した。

(2014年7月10日朝刊掲載)

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