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孤児や食糧難…戦後の混乱描く 福山の熊谷さん 体験基に児童文学

 広島県福山市駅家町の熊谷本郷さん(72)が、戦後の混乱期を生きた少年を主人公にした児童文学「泣くな、東太(とうた)」を出版した。自分や友人の体験を基に、戦争の愚かさなどを訴えている。

 終戦から5年後、現在の東広島市八本松町で物語は始まる。小学3年生の主人公、東太は原爆に祖父母を奪われ、父も被爆の影響で死んでしまう。戦争孤児の友人が多く、親を奪われた寂しさを抱え、食糧難にも苦しみながら生きていく。

 A5判、180ページ。1296円。全国の書店で購入できる。2012年から約2年かけて仕上げた。

 熊谷さんは呉市で生まれ、福山市駅家町で繊維会社を経営。30年ほど前から執筆活動も続けている。戦後生まれた弟は栄養失調になり、6歳で疫痢で亡くなった。「大切な人が亡くなり、子どもから親や食べ物を奪う戦争の恐ろしさを知ってほしい」と話している。(小林可奈)

(2014年7月10日朝刊掲載)

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