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岩国・愛宕山跡地 米軍住宅案を提示 防衛省

■記者 広田恭祥、金刺大五

 岩国市の愛宕山地域開発事業跡地を取得する方針の防衛省の榛葉(しんば)賀津也副大臣は3日、二井関成山口県知事と福田良彦岩国市長に跡地への施設配置案を示した。米海軍厚木基地(神奈川県)から米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転に伴い、270戸の住宅などを建設するとの内容。近く住民説明会を開く。

 榛葉副大臣は県庁で二井知事ら、岩国市役所では福田市長らに説明した。同省は、約102ヘクタールの跡地のうち平地部分の4分の3の約45ヘクタールと周りの森林を取得する方針で199億円を予算化している。

 配置案によると、西側約28ヘクタールは「家族住宅エリア」で、幹部向け低層住宅270戸程度や消防署を建設。艦載機移転などで岩国に移る軍人や家族は計約4100人、米側は住宅1060戸程度を求めており、残る4分の3は基地内に造る。

 東側は、市のまちづくりエリア(約15ヘクタール)を除く約17ヘクタールを「運動施設エリア」とし、野球場や400メートルトラック・サッカー場、コミュニティセンターなどを整備。市民も立ち入れ、事前申請で利用できるよう検討する。

 説明に対し二井知事は、岩国市の意向を尊重して、国に土地を売却するかどうか判断する考えを強調。福田市長は「議会の意見や市民の声に耳を傾け、県とも協議して方針を固めたい」とした。

 県と市は、246億円に上る事業の赤字解消のため、国に跡地買い取りを求めてきた。地元には、提案を容認する声がある一方、周辺住民は反対運動を活発化させている。

愛宕山地域開発事業
 岩国市の米海兵隊岩国基地の滑走路沖合移設への土砂提供と連動し、山口県住宅供給公社が1998年に着工。掘削土砂を国に売り、1500戸の住宅団地を造る計画だった。しかし地価低迷などを理由に巨額の赤字を見込む県と市が2007年6月、事業中止に合意。2009年2月、正式に事業廃止した。

(2010年9月4日朝刊掲載)

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