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古賀政男作曲 楽譜を発見 旧呉海軍工廠 工員養成所の所歌 あす海自呉が「復活」演奏

 旧呉海軍工廠(こうしょう)の工員養成所で歌われていた「所歌」の楽譜が呉市の民家で見つかった。作曲は古賀政男(1904~78年)。12日に大和ミュージアムで始まる企画展「戦艦大和・武蔵の進水式展」の開幕式典で海上自衛隊呉音楽隊が演奏する。(小島正和)

 楽譜はB5判。裏面に1~4番の歌詞を記し、養成所の写真も添えてある。作詞者は不明。「我等は励む国の為」「我が工養戦士」などの歌詞が並ぶが、勇ましい曲調ではないという。

 父親が旧海軍の軍人だった無職相原美智子さん(82)=東塩屋町=が昨夏、自宅で父の遺品を整理中に発見。何度か遺品を提供してきた大和ミュージアムに活用策を相談した。

 ミュージアムは企画展開幕を盛り上げようと5月、呉音楽隊に編曲を依頼。音楽隊による披露も決まった。

 「柔」「人生の並木路」など4千曲以上を残した古賀政男を顕彰する音楽博物館(東京)には、所歌は1943年4月にレコードとして発表したとの記録が残る。同館は「古賀は海軍の依頼で数曲作った。所歌の歌詞や楽譜は残っておらず、貴重」とする。

 終戦の前年、養成所に半年通った同市倉橋町の無職藤本克幸さん(84)は「戦争に負けそうだったが、頑張らねばと仲間と励まし合ってよく歌っていた。懐かしい」と所歌の「復活」を喜んでいる。

(2014年7月11日朝刊掲載)

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