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米大統領選と「核兵器廃絶」 民主関心 共和及び腰

■記者 吉原圭介、桑島美帆

 核超大国の米国で大統領選が熱を帯びている。20日までに民主・共和両党はニューハンプシャー州やアイオワ州などで予備選挙や党員集会を終えた。世界の盟主を自負する国のトップ選びに「核兵器廃絶」は争点になっているのか。主な候補者7人の訴えを「ヒロシマ」の目線で見た。

各候補の訴え なお乏しく

 今月5日、ニューハンプシャー州であった民主党の討論会。全文を報じた米メディアによると、エドワーズ元上院議員は「核兵器を廃絶することが唯一世界の治安を保ち、米国を安全にする方法だ」と、長期間にわたり廃絶への国際的なイニシアチブを取る必要性を訴えた。

 オバマ上院議員は現政権が核不拡散への取り組みをしなかったことを批判。「4年もあれば現在ずさんな管理下にある核兵器を安全な状態にすることが可能だろう」と語った。ヒラリー・クリントン上院議員はパキスタン情勢に触れ、核兵器の安全管理について、ムシャラフ大統領への呼び掛けに意気込みを見せた。

 民主党を見ると意外に核兵器問題への発言があるようだ。しかし、同じ日にあった共和党の討論会では、核兵器に関する質問がでなかったこともあり、関連する発言はなかった。

 現段階では、主要な候補者7人が政策を掲げるウェブサイトに核兵器廃絶に関する訴えは多くない。

 カリフォルニア州サンタバーバラに拠点を置く非政府組織(NGO)核時代平和財団は「核政策についての主張は民主党候補者に多く、共和党ではほとんど見られない」と分析する。

 財団は全員に「大統領になったら新たな核兵器開発をしないと公約するか」など8項目のアンケートをし、その回答や核兵器廃絶に関する発言をウェブサイトで紹介している。デービッド・クリーガー会長(65)は「核問題について有権者の関心は高くないが、この重要な問題に候補者がどう発言しているかを問うことは意義がある。引き続き関心を高める運動を進める」と話す。

 カリフォルニア州在住の広島の被爆者笹森恵子さん(75)は「一般の人の関心は、医療や不況対策などいろんな問題にあり、核兵器が前面に出てくることは難しいと思う。ただ今回は、以前に比べて多くの人がイラク戦争に反対している感じがしている。核兵器廃絶を公約に掲げている人は、選挙期間中の人気取りのためだけではなく、大統領になったらきちんと約束を果たしてほしい」と求めている。

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