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集団的自衛権 言及せず 8・6平和宣言で市長方針

 広島市の松井一実市長は14日、原爆の日の平和記念式典で読み上げる平和宣言で、集団的自衛権に直接言及しない方針を決めた。市役所で開いた宣言文を検討する「被爆体験に関する懇談会」で2案をたたき台として提示。個別の問題に触れるより、「憲法の崇高な平和主義」の下での戦後の歩みの大切さを強調する案が了承された。松井市長が8月上旬までに宣言を起草する。

 非公開の懇談会には、座長の松井市長を含む全委員9人が出席。終了後に記者会見した松井市長によると、個別問題を書き連ねた案と、採用案を示して討議した結果、座長を除く8人のうち7人が後者を支持したという。

 松井市長は、憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使を認める政権を批判していたが、採用案に「平和主義の下に諸問題は集約され、被爆者の思いが含まれている」との評価があったと話した。

 また懇談会では、公募で寄せられた被爆者61人の体験談の中から引用する3人も決めた。建物疎開に当たった動員学徒の被害や、「戦争文化ではなく平和文化」を願う気持ちを織り込む。別に、委員から提案された原爆孤児の体験も取り入れる。

 2011年の就任以来、4度目の平和宣言をまとめる松井市長は「若い世代が自分自身の問題として捉えられるような展開にしたい」と話した。(加納亜弥)

(2014年7月15日朝刊掲載)

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