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社説・コラム

天風録 「空飛ぶガソリンスタンド」

 私事で恐縮だが、週末のたび車で片道2時間の実家に帰省している。介護というより、親の顔を見て愚痴を聞くためのドライブのようなもの。ただ最近はガソリン代が上がり、今月から高速代割引も目減りした。愚痴をこらえ、道中の安いスタンドで満タンにするのが習わしになった▲きのう米海兵隊岩国基地に空中給油機KC130が2機やってきた。戦闘機ほどには、やかましくはない。それでも来月末までに、沖縄・普天間飛行場から15機全てが岩国に移ってくる▲「空飛ぶガソリンスタンド」は32年前のフォークランド紛争で飛び回った。大西洋上6千キロを往復する爆撃機1機のため、英空軍は15機も随行させたという。多くは給油機のための給油機だったそうだ。戦争は際限のない浪費だと言うが、まさに▲政府は「沖縄の負担軽減になる」と言う。基地の周囲で暮らす人たちの悲鳴は確かに、愚痴と呼べるレベルではない。「沖縄のために」と受け入れた岩国市民の思いにも誇張はなかろう▲だが、KC130は訓練のたびに沖縄へ飛ぶそうだ。それでは重荷はさほど軽くならず、岩国の思いにも応えられまい。この際、米本土へ長期「帰省」も検討してみては。

(2014年7月16日朝刊掲載)

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