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あい染め70点 平和願い個展 防府の飴村さん 中区

■記者 新田葉子 

 防府市富海(とのみ)のあい染め作家飴村(あめむら)秀子さん(82)が、18日から広島市中区の旧日本銀行広島支店で「藍(あい)と愛展」を開く。入市被爆者の飴村さんは、被爆建物の同支店を訪れた際、当時を思い起こし、ここを会場にすることを決意。「この建物にささげたい」と平和を願う作品も制作した。

 飴村さんは被爆当時、現在の東区牛田に住んでいたが、安芸区に疎開中。いとこを捜すため原爆投下2日後、市中心部に入った。あれから65年、知人に個展会場にと薦められた同支店に足を踏み入れ、焼け野原、うごめく負傷者、積み上げられた遺体…。その光景がフラッシュバックした。

 「原爆をとても表現できるとは思えない。でも、建物の呼び声に素直に応じる気持ちになった」。手を天高く伸ばすようにしつらえた鉄骨にあい染めの端切れをまとわせ、「希(ねが)い」と名付けた作品を仕上げた。ボロ切れのようになってさまよう人間のイメージに、平和を願う心を重ねたという。

 展覧会では約70点を披露する。26日まで。無料。

(2010年9月8日朝刊掲載)

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