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ゲンの生き方 「麦」に学ぶ 校舎で栽培うどん作り 広島市安芸区の矢野南小

 故中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」の象徴の麦を育て、平和学習に役立てている広島市安芸区の矢野南小で15日、収穫した小麦で作ったうどんのパーティーがあった。中沢さんの妻ミサヨさん(71)や、ゲンにちなんだ歌を作った歌手李翔雲さん(29)らも出席し、4年生120人がゲンと反核の思いを確かめ合った。(田中伸武)

 校舎屋上の菜園で栽培したのは、中沢さんにちなんだ麦の普及運動をするNPO法人一念発起(平田冨美子理事長)が提供した種。4年生が3年生だった昨秋に種をまき、地域の協力者と麦踏みや草抜きをして、先月29キロを収穫した。

 製粉とうどん玉作りは業者に頼んだが、この日4年生は玉を延ばし、切ったうどんをかけうどんにして体育館で会食した。

 日野咲里さん(9)は「平和とは、一人一人自分の生命を大切にすること。世界中に思いを伝えたい」と呼び掛け、ミサヨさんは「子どもたちが助け合って育てたことが分かる。主人の思いが伝わったと思うとうれしい」と話していた。

 2012年12月に73歳で亡くなった中沢さんは同年9月、同校で講演し、公に姿を見せたのはこれが最後となった。同校は麦の栽培を同年から始め、ゲンのように強くまっすぐ生きることや平和をつくる意思を込めている。

(2014年7月16日朝刊掲載)

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