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ヨウ素剤を事前配布 原発5キロ圏 希望の住民に 島根県検討委が方針

 島根県は15日、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の事故に備え、甲状腺被曝(ひばく)を予防する医薬品「安定ヨウ素剤」の配布方法を協議する検討委員会を松江市で開いた。最も早く避難する原発から5キロ圏内で、希望した住民にヨウ素剤を事前配布する方針を申し合わせた。

 検討委の議論がまとまる見込みの9月以降、5キロ圏の全約1万人を対象に説明会を開催。服用や保管上の注意点を伝える。一方、約38万4千人が住む5~30キロ圏は「全域での説明会開催が困難」として事前配布の対象を限定する方針で、一時集結所などで配布する。一時集結所から遠方の住民や障害者が配布を希望した場合は応じる考えで、詳細は今後詰める。

 検討委は原発30キロ圏の松江、出雲、雲南、安来市の担当者や医師たち16人で構成。この日、住民代表の委員は「事故時は混乱する。(事前配布を限定する)5~30キロ圏の住民に本当に配れるのか」と指摘した。

 ヨウ素剤は4市の市役所や病院、原発10キロ圏の小中高校など45カ所で計76万9千錠を備蓄している。検討委は、アレルギーのある住民には事前配布しない▽乳幼児向けの粉末タイプは一時集結所で薬剤師が調剤して服用させる―との方針も了承した。(樋口浩二)

(2014年7月16日朝刊掲載)

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