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島根2号再稼働 懸念と期待交錯 事故リスク残る/地元経済のため 川内原発 新基準適合

 川内原発1、2号機が再稼働の前提となる審査に事実上合格したのを受け、中国電力島根原発(松江市鹿島町)の地元住民からは、審査中の島根2号機の再稼働について懸念と期待が交錯した。原子力規制委員会は川内の審査に集中していた人員を元に戻す方針。島根の審査が本格化する可能性があるものの、終了時期は見通せないままだ。

 「なし崩しに合格が続けば島根2号機も再稼働してしまう」。市民団体「平和フォーラムしまね」の杉谷肇代表(72)は不安を語る。20日には同市で5千人規模の脱原発集会を開く計画で「規制委の審査をクリアしても事故のリスクは残る。市民の声を結集したい」。

 一方、まつえ北商工会の青山正夫筆頭理事(67)は「地元経済のために早く稼働してほしい」と望む。「規制基準は福島の教訓から厳格化され、島根原発も安全対策が進んだ。審査をクリアすれば再稼働は当然」と話した。

 規制委は川内原発の審査に集中していた人員を、事実上の合格に伴い、従来通りに戻す方針。ほぼ月1回ペースだった島根の審査会合の開催頻度が高まり、本格化する可能性もある。

 ただ川内の審査会合は62回、計110時間以上。合格まで1年かかった。5カ月遅れの昨年12月に申請した島根の会合は8回にとどまり、規制委の指摘で始めた原発周辺の活断層の追加調査も8月末までかかる。

 また島根は川内とは異なる格納容器で、合格に向けて設置が必要なフィルター付き排気(ベント)設備など特有の審査も焦点となる。中電は「今後も審査に適切に対応し、自主的な安全対策にも取り組む」とした。(山本和明、樋口浩二)

(2014年7月17日朝刊掲載)

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