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被爆の証人 すっきり 広島の原爆資料館 展示ケース内掃除

 被爆69年となる原爆の日を前に、原爆資料館(広島市中区)は16日、閉館後に展示ケース内を掃除した。あの日を証言し続ける被爆者の遺品など資料の周りに積もった1年間のほこりを取り払い、職員は汗を流した。

 午後6時に閉館し、静かになった本館で、白手袋をはめた学芸課の職員たち11人が開始。ガラスケースの扉を開け、木板を白布で包んだ展示板ごと取り出した。ぼろぼろに破れた女学生の制服、原爆投下時刻の午前8時15分で止まった懐中時計、黒焦げの弁当箱…。劣化が進んでいないか確かめながら、タオルで慎重にほこりを払っていった。

 ケースの隙間から入るほこりは、1年たつと目に見えるほど。展示板は新品に交換し、ケース内に掃除機を掛けたり、ガラスを布で丹念に磨いたりした。東館と合わせ、約420点の実物資料を並べた全てのケースを夜のうちに掃除した。作業に加わった志賀賢治館長は「見るのに最適な状況で来館者を迎えられる。実物資料とじっくり対話してほしい」と話した。(田中美千子)

(2014年7月17日朝刊掲載)

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