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「広島に謙虚な気持ち」 ヒロシマ賞受賞のサルセドさん

 平和に貢献した現代美術作家をたたえる第9回ヒロシマ賞(広島市など主催)の授賞式が18日、広島市南区の市現代美術館であり、南米コロンビアの芸術家ドリス・サルセドさん(55)に、賞状などが贈られた。

 サルセドさんは首都ボゴタ在住。母国の内戦をはじめ、世界中で続く暴力や差別による犠牲者の家族らと関わり、悲しみに寄り添いながら、平和への願いを込めた創作を続ける。使い古された家具や衣服を用いた彫刻作品、大規模なインスタレーション(空間構成)やプロジェクトで国際的に知られている。

 松井一実市長から賞状を受け取ったサルセドさんは「絶望から再生した広島に、大変謙虚な気持ちにさせられている」と述べた。

 同館は19日から10月13日まで受賞記念展を開く。重ね合わせた無数の机で、棺や再生を表現した「プレガリア・ムーダ(沈黙の祈り)」などが展示され、暴力による犠牲者の痛みや記憶を静かに伝える。

 ヒロシマ賞は市が1989年に創設し、3年ごとに授与。これまで東区出身のデザイナー三宅一生さんや米国在住の芸術家オノ・ヨーコさんたち9人に贈られた。南米からはサルセドさんが初めて。(森田裕美)

(2014年7月19日朝刊掲載)

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