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69年目の夏へ 被爆証言「継承」とは NHKドラマ「かたりべさん」 来月3日全国放送 若者の葛藤通し問い掛け

 被爆証言を次世代へ語り継ごうとする若者の姿を描いたドラマ「かたりべさん」を、NHK広島放送局が制作した。あの日から69年。被爆者の高齢化が進む中、体験の継承の在り方を問い掛ける。

 広島市が2012年度に始めた被爆体験伝承者養成事業を基にした物語。自分にその資格があるのかと悩む被爆3世の沙希(21)、不純な動機で参加し被爆者に向き合うことになる慎吾(22)、癒えない心の傷を抱える被爆者の荒木…。3人の姿から受け継ぐことの大切さや難しさが浮かぶ。

 「自信なく迷っていた沙希が『資格なんて誰にでもなくて誰にでもある』という慎吾の言葉で変化する姿を見てほしい」と松江市出身で沙希役の生越千晴。慎吾役の鳥越裕貴は「演技を通じ、自分なりの言葉で伝えればいいんだと思えるようになった」と語る。

 荒木役の中村嘉葏雄のほか、土屋嘉男や水野久美ら実力派が出演。大橋守ディレクターは「69年たち、何があったか知らず、関心を抱くチャンスすらない若者も多い。そんな人たちが原爆を知るきっかけをつくりたかった」と力を込める。

 NHK総合で8月3日午後4時から87分の完全版を全国放送。中国地方では1日午後7時半から73分版も放送する。(余村泰樹)

(2014年7月19日朝刊掲載)

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