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井上ひさし 護憲の魂宿る 「兄おとうと」 来月4日から広島公演

 井上ひさし作品を演じる劇団「こまつ座」は8月4~8日、大正デモクラシーの立役者である吉野作造の評伝劇「兄おとうと」を、広島市で上演する。ひさしの三女でこまつ座社長の井上麻矢(47)が広島市を訪れ「国民が主権者という基礎をつくった作造。国民の声を無視して憲法解釈が変えられる時代だからこそ見てほしい」と強調した。

 政治は国民の考えに基づくべきだという「民本主義」を説いた作造。10歳年下で会うたびに国の在り方について激論した高級官僚の弟信次やそれぞれの妻との関係を、歌や踊りを交えてユーモラスに描く。

 集団的自衛権の行使容認の閣議決定後、亡き父の思いを聞かれることが多いという井上。「父は、今の憲法は戦争で亡くなった人の声そのもので、その声が聞こえないからといって勝手に解釈を変えてはいけないと言い続けていた。父が今感じていることは舞台を見れば分かるはず」と語る。

 公演は4日午後6時半と5日午後1時から中区のアステールプラザ、7日午後6時半と8日午後1時から安佐南区民文化センター。鑑賞には広島市民劇場への入会が必要。同劇場Tel082(247)5433。(余村泰樹)

(2014年7月19日朝刊掲載)

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