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日豪主導 非核グループが発足

■記者 岡田浩平

 国連総会に合わせ各国の外相が集まる米ニューヨークで22日、日本がオーストラリアとともに主導する非核兵器保有国のグループが発足する。ほかにも核軍縮に関する閣僚級の会合が相次ぐ。「核兵器のない世界」の実現へ、5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の最終文書にある行動計画の実践につながる議論が期待される。

 非核保有国のグループは22日夕にオーストラリアの国連代表部で初会合を持つ。「核軍縮・不拡散の機運を維持し、NPT再検討会議の行動計画の着実な実施へ現実的な提案をする」(外務省軍備管理軍縮課)のが狙い。日豪やドイツなど10カ国程度が参加し「政治宣言」を出す予定だ。

 新グループづくりは核軍縮・不拡散問題に力点を置く岡田克也前外相が推進。自らの肝いりで7月に設置した「核軍縮・不拡散に関する有識者懇談会」との4回の会合で参加国や今後の方向性について議論を重ねてきた。

 座長の黒沢満・大阪女学院大教授は、新グループが核保有国と核兵器廃絶に熱心な非同盟諸国(NAM)との間に立って核軍縮を進める役割を期待。具体的には、核保有の「唯一の目的」を核攻撃の抑止とする政策に踏み込むかどうかに注目する。「米国の核抑止力の下にある国が核兵器の役割を下げようと言う意味は大きい」と話す。ただ、会合直前に就任した前原誠司外相は安全保障政策通だが、集団的自衛権の行使容認を唱えるなど「タカ派」と評されている。

 岡田前外相は17日の退任会見で、核軍縮・不拡散の問題を今後1年の外交政策の柱にしようとしていたと明かし「核のない世界を目指す、政治的に明確な意思を持って着実にステップを踏む路線が定着してほしい」と期待した。前原外相は同日夜の就任会見で新グループの会合に関し「岡田氏の思いを共有して努力をしたい」と語るにとどめた。

 23日には包括的核実験禁止条約(CTBT)の速やかな発効を促す外相の会合がある。24日には、潘基文(バンキムン)国連事務総長が主催するジュネーブ軍縮会議(CD)に関するハイレベル会合がある。交渉入りが難航している兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約などについて討議される。

(2010年9月22日朝刊掲載)

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