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原爆症認定 審査結果を初公開 厚労省、却下理由など

■記者 岡田浩平

 厚生労働省は21日、4~6月の被爆者医療分科会で行った延べ1611人の原爆症審査結果を初めて一部公開した。却下の理由や被爆状況、病名が柱。公開を求めていた日本被団協は、被爆実態に沿った認定行政になっているかどうかの検証の材料にする。

 却下は延べ1363人に上り、1人が複数の病気で申請したケースもある。病気ごとの審査の結果、却下理由は「放射線起因性(原爆放射線と病気との関連)が認められない」が1217件、「要医療性が認められない」が138件、両方が151件だった。

 放射線起因性を否定した判断については、(1)病気になるほど被曝(ひばく)していない(2)病気と放射線との因果関係が証明されていない(3)年齢、生活習慣などを考慮して起因性がない―などを例示するにとどめた。

 原爆症の「積極認定」の要件は爆心地から3.5キロ以内だが、それより遠い地点で被爆したがんが比較的多く認定されていることも分かった。9キロで被爆し認定されたがんもあった。一方、積極認定する病気の一つの白内障は、爆心地から600メートルでの被爆でも却下された事例もあった。厚労省健康局総務課は「審査過程で新たな被爆状況が判明するケースもあり、総合判断している」と説明した。

 審査結果の公表は1月に長妻昭厚労相(当時)が被団協などとの協議で約束していた。

 被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長は「放射線起因性を狭くとらえていないか厳しくチェックしたい」と話している。

(2010年9月22日朝刊掲載)

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