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被爆樹木に彫った傷 名前や相合い傘 近く被害届 中区

■記者 新田葉子

 広島市中区小町の被爆樹木クロガネモチに名前などを彫った傷跡があることが分かった。同区管理課もいたずらとみられる傷を確認。近く器物損壊の疑いで広島中央署に被害届を提出する。

 白神社前に立つクロガネモチの高さ40センチほどの幹には相合い傘が刻まれていた。約140センチの部分には「田中」と読み取れる文字も。今月17日に周辺を調べた同課は、被爆樹木ではない3本を含め計約10カ所の傷を把握した。

 市平和推進課は、市内55カ所約170本の被爆樹木を登録しているが、これまで傷などの調査はしていないという。

 西区の樹木医堀口力さん(65)は1995年に調査をした際、いくつかの傷を見つけたという。「木は生き物。傷を消してやろうとすると、逆に弱めてしまうこともあり、対処が難しい」。被爆樹木の保全に心血を注いでいるだけに、心ない行為に憤る。

 通り掛かった中区の主婦中原綾子さん(45)は「原爆被害を乗り越えた木を傷つけるなんてひどい。罪の意識がないんでしょうね」と悲しんでいた。

 中区管理課は樹木医たちから話を聞き、いたずらの時期を絞り込んだ上で被害届を出す方針。

(2010年9月24日朝刊掲載)

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