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NYの路上画家 三力谷さん半生 江田島で上映会

 ニューヨークの路上画家、ジミー三力谷さん(1920~2012年)の半生をたどるドキュメンタリー映画の上映に向け、江田島市の画家峰崎真弥さん(25)が準備している。「時代に翻弄(ほんろう)されつつも自分に正直に生きた彼のことを知ってほしい」。三力谷さんと同じ日系2世で太平洋戦争中、米国の日系人収容所にいた祖母も当時の写真などを提供してくれた。(貞末恭之)

 映画は「ミリキタニの猫」(06年)。26日午後5時からと、27日午前10時から同市江田島町の海友舎で上映する。映画をプロデュースしたマサさんが来日し、初日の上映前のトークイベントに出演する。

 峰崎さんは美術大の1年生だった07年、同市に住む祖母平野芳枝さん(83)が収容所にいたと聞いた。三力谷さんの存在を知ったのも同じ頃だ。日本での兵役を拒み広島から渡米、日系人強制収容所に入れられ、絵を支えにその後を生きた姿に心は動いた。

 芸術、祖母、ミリキタニ―。不思議な縁を感じた。11年に渡米、面会。「日本語と英語で自作を熱心に語るおじいちゃんだった」と在りし日を思い出す。

 上映会に向け、祖母にあらためて米国での暮らしを尋ねた。カリフォルニア州生まれ。9歳の時に家族8人で収容所に入り終戦まで過ごした。米国に背いたわけでもないのに日系人という理由で不自由をしのび、差別もあった。「みそ汁よりコーラ好きの不思議な祖母と思っていたけど、しゃべらないできた過去があったと知った」

 「今どき、誰が収容所に関心持つの」と素っ気なかった祖母が、写真や収容所で使っていた調理用具など計13点を出してきた。「映画が戦争の愚かさを知るきっかけになれば」と願う孫の情熱に打たれたのだ。上映会の会場に展示するという。

 予約の有無、年齢などで料金は異なる。問い合わせはメールでkaiyousya@gmail.com。

(2014年7月24日朝刊掲載)

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