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ヒロシマの願い世界へ 仏の学生 被爆地ガイド デガネロさん 母国語で自作資料 原爆ドーム周辺で

 フランス人の大学院生オレリー・デガネロさん(23)が今夏、広島中区の原爆ドーム周辺でボランティアガイドを務めている。「ヒロシマを知りたい人の役に立ちたい」。被爆者の家にホームステイし、8月末まで「あの日」の惨状をフランス語で伝える。(田中美千子)

 今月初旬からほぼ毎日、ボランティアグループFIG(フィグ)の一員としてドームそばに立つ。胸元には、フランス語で「無料ガイド」の札。フランス語圏の観光客に求められると、近くの寺や平和記念公園内の慰霊碑を案内する。23日も、カナダ・ケベック州から訪れた観光客に自作のフランス語資料を示し、原爆供養塔などを説明した。

 核問題に関心があったというデガネロさんは3月、論文の題材を求めて広島を初めて訪れた。学校では原爆をほとんど習わず、友人との間で自国の核保有が話題になることもなかった。「自分があまりに何も知らなかったと気付いた」という。

 ドーム前で出会ったFIG代表の胎内被爆者、三登浩成さん(68)=府中町=の元に、4月末に帰国するまでの1カ月間通い詰め、原爆の放射線による影響から戦後の被爆者に対する差別まで聞いた。

 6月下旬に再来日。三登さん方にホームステイし、共にドームへ通う。デガネロさんは「まだ学ぶことばかり。次の論文は原発もテーマにしたい」と話している。

(2014年7月24日朝刊掲載)

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