×

ニュース

福山空襲と原爆の記憶紡ぐ 市人権平和資料館「ピース・ナビ」開講 体験者証言 遺跡巡りも

 福山空襲や原爆被害について学ぶ講座「ふくやまピース・ナビ(平和案内人)」が29日夜、福山市丸之内の市人権平和資料館で始まった。戦争を体験した人が高齢化する中、記憶の風化を防ぎ次世代に継承しようと、同館が初めて企画した。初回は約40人が参加した。(小林可奈)

 1945年8月8日の福山空襲を体験した同館の元副館長、田辺準一郎さん(79)が、市街地の約8割が焼かれた被害状況や、父親と一緒に消火活動したことなどを説明。「戦争は命だけでなく、スポーツや文化、人の優しさも奪う」などと語った。

 参加者の半数は60歳以上だったが、母親と一緒に参加した中学生もいた。銀河学院中1年旗手実梨さん(12)は「戦争の恐ろしさを知らない同世代にも伝えたい」と話した。

 同館は8月に開館20年を迎える。これまで福山空襲の企画展や市内の戦争遺跡巡りを開いてきたが、体験者から直接証言を聞ける機会が少なくなるとの危機感から、初めて企画した。

 講座は8月23日までに5回開き、空襲体験者や被爆者が戦時中の市民の暮らしや広島での被爆体験を語る。最終回は市内の戦争遺跡巡りもする。田中淳雄副館長は「戦争を繰り返さない世の中をつくるためのきっかけづくりの場にしたい」と話している。

(2014年7月31日朝刊掲載)

年別アーカイブ