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「非核三原則 法制化を」 大江健三郎さん講演 広島

■記者 東海右佐衛門直柄

 ノーベル賞作家の大江健三郎さん(75)が2日、広島市中区で講演し、ヒロシマの原点を見つめ直し「非核三原則の法制化が、核戦争防止に有効だと世界に呼び掛けていかなければならない」と訴えた。

 市などが企画した連続講座「広島の平和思想を伝える」の第1回で、市民たち約1200人が参加した。

 大江さんは、広島原爆病院(現広島赤十字・原爆病院、中区)の故重藤文夫院長との出会いを紹介。「苦しみ続ける被爆者と向き合い、懸命に働き続けておられた。私にとっての『人間のモデル』だった」と振り返った。

 また、核兵器廃絶に向けた世界的な潮流を踏まえ、「20年、25年後には核兵器を全廃できる時が来る」と強調。「核抑止の考えでは、核兵器は廃絶できない。政治家は論理の間違いに気付いてほしい」と述べた。

 さらに戦後65年間、原爆が投下されていない背景に被爆者の平和運動があると指摘。「広島、長崎が最後の被爆地として記憶されるよう、若い人は行動してほしい」と呼び掛けた。

(2010年10月3日朝刊掲載)

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