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戦争体験を絵巻につづる 福山の児童ら制作 3日の交流会で発表

 福山市光南町の児童たちが、地元のお年寄りから聞いた戦争体験を縦0.8メートル、横10メートルの絵巻物にまとめた。傷ついた戦友を軍の命令で置き去りにしたつらい経験、ジャングルをさまよい歩く様子など10場面で構成。3日午前10時から、同市御門町の南公民館である地域の3世代交流会で発表する。(小林可奈)

 タイトルは「若い時は戦争ばかりしようた」。日中戦争時の1937年と太平洋戦争時の42年の2度召集された、門田隆三郎さん(98)の体験に基づいている。

 門田さんは、1度目は中国とベトナム、2度目はフィリピンやパプアニューギニアに赴いた。パプアニューギニアのニューブリテン島では、軍の命令で傷ついた戦友を残し、次の戦地に援軍に向かうためジャングルの中を約千キロ歩いた。食料がなくカタツムリやカエルを捕まえて食べたという。絵巻物では、門田さんが戦友を前に悲しそうに立ちすくみ、蛇やカエルがいるジャングルを歩き進む姿などを描いている。

 昨年、町内の歴史をまとめた冊子に門田さんが戦時中の体験を寄せた。それを読んだ光南町一丁目町内会の中村寿秀会長(63)が「地域の子どもに戦争体験を教え、平和な世の中をつくるきっかけにしたい」と絵巻物の制作を企画。今年5月から児童7人が門田さんの証言を聞き、中村会長の助言を受けながら仕上げた。

 南小6年藤原陽太君(11)は「人を殺し殺され、食べ物もなくなる戦争はいやだという思いを伝えたい」と話す。門田さんは「次の世代に自分と同じ思いはさせたくない。平和の大切さを知ってほしい」と願っている。

(2014年8月1日朝刊掲載)

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